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読書
2009 - 11/20 [Fri] - 00:42
すっげえぞ。これ、すっげえぞ。
そんな感想しか出てこないこの作品は、ヴォネガット・Jrの代表作であり、SFの代表作でもある。
第二次大戦でドイツ軍の捕虜になった兵士ビリーは、トラファルマドール星人に連れ去られる。彼は時間を飛ぶ能力を持っており、時間が無作為に交差する。こんな話なのだが、上手くこの本の凄さを一ミリも表現できていないところが悔しい。
ドレスデンでの空襲。捕虜での生々しい体験。そしてトラファルマドール星人の教え。それらが美しく絡み合い、織物のように一つの作品を作り出す。それは計算しつくされた構成に基づいている。
特にトラファルマドール星人という設定をもってきたのがすごい。これを除けば戦争文学として成り立つのに、トラファルマドール星人というメタ的な作者の哲学の代弁者を出すことで、作品に深みが増すし、陰鬱な戦争小説に救いが与えられている。とぼけた設定で時間旅行により他人事のように自分を眺める主人公も、作品を軽くするのに一役かっているだろう。
トラファルマドール星人は、時間は常に瞬間であり、永劫だという。そして主人公のビリーに助言する。
「幸福な瞬間にだけ心を集中し、不幸な瞬間は無視するように。美しいものだけを見つめて過ごすように、永劫は決して過ぎ去りはしないのだから」
すっげえぞ。これすっげえぞ、としか僕には言えない。それが悲しいが、とにかくすごい本なのである。やっぱり本はいいなあ。SFはいいなあ。
![]() | スローターハウス5 (ハヤカワ文庫 SF 302) (1978/12) カート・ヴォネガット・ジュニア 商品詳細を見る |
すっげえぞ。これ、すっげえぞ。
そんな感想しか出てこないこの作品は、ヴォネガット・Jrの代表作であり、SFの代表作でもある。
第二次大戦でドイツ軍の捕虜になった兵士ビリーは、トラファルマドール星人に連れ去られる。彼は時間を飛ぶ能力を持っており、時間が無作為に交差する。こんな話なのだが、上手くこの本の凄さを一ミリも表現できていないところが悔しい。
ドレスデンでの空襲。捕虜での生々しい体験。そしてトラファルマドール星人の教え。それらが美しく絡み合い、織物のように一つの作品を作り出す。それは計算しつくされた構成に基づいている。
特にトラファルマドール星人という設定をもってきたのがすごい。これを除けば戦争文学として成り立つのに、トラファルマドール星人というメタ的な作者の哲学の代弁者を出すことで、作品に深みが増すし、陰鬱な戦争小説に救いが与えられている。とぼけた設定で時間旅行により他人事のように自分を眺める主人公も、作品を軽くするのに一役かっているだろう。
トラファルマドール星人は、時間は常に瞬間であり、永劫だという。そして主人公のビリーに助言する。
「幸福な瞬間にだけ心を集中し、不幸な瞬間は無視するように。美しいものだけを見つめて過ごすように、永劫は決して過ぎ去りはしないのだから」
すっげえぞ。これすっげえぞ、としか僕には言えない。それが悲しいが、とにかくすごい本なのである。やっぱり本はいいなあ。SFはいいなあ。
2009 - 11/19 [Thu] - 00:15
本の新しい形
http://www.secondtimes.net/news/world/20091117_esquire.html
webカメラにかざすと、本の中の人が動くという驚き。
もはや本は活字のメディアではない。
でも、それでも僕は活字が好きなのです。
読書
2009 - 11/18 [Wed] - 00:14
何がいいって、タイトルのセンスが良い。これだけで買ってしまいそうになるし、実際に買ってしまったわけなのである。だからSFって素晴らしい。
グレッグ・イーガンのヒューゴー賞・ローカス賞受賞の短編集。表題作を含む11篇の作品が収められている。
読後感を一言で言うならば、圧倒的という言葉に尽きる。濃密なハードSFの世界がこれでもか、と詰め込まれており、お腹いっぱいになってしまった。
全編にわたってイーガンらしいアイデンティティの喪失にまつわる話が多い。「ぼくになること」は頭の中に記憶を移した結晶を持つ人々の話であり、自分が人間なのか結晶なのかわからなくなる。それが信仰まで発展させたのが表題作の「祈りの海」となる。
ハードSFのお手本のような小説なので、耐性のない人にとっては頭が痛くなるような世界観がぐるぐる回るかもしれない。正直、僕も若干専門用語は飛ばし読みした部分があったのも事実だが、それ以上に膨大で細部まで鮮烈な世界の広さに息を呑むことだろう。
こういうのが好きな人も嫌いな人も、一度は触れていて損はない本。
![]() | 祈りの海 (ハヤカワ文庫SF) (2000/12) グレッグ イーガン 商品詳細を見る |
何がいいって、タイトルのセンスが良い。これだけで買ってしまいそうになるし、実際に買ってしまったわけなのである。だからSFって素晴らしい。
グレッグ・イーガンのヒューゴー賞・ローカス賞受賞の短編集。表題作を含む11篇の作品が収められている。
読後感を一言で言うならば、圧倒的という言葉に尽きる。濃密なハードSFの世界がこれでもか、と詰め込まれており、お腹いっぱいになってしまった。
全編にわたってイーガンらしいアイデンティティの喪失にまつわる話が多い。「ぼくになること」は頭の中に記憶を移した結晶を持つ人々の話であり、自分が人間なのか結晶なのかわからなくなる。それが信仰まで発展させたのが表題作の「祈りの海」となる。
ハードSFのお手本のような小説なので、耐性のない人にとっては頭が痛くなるような世界観がぐるぐる回るかもしれない。正直、僕も若干専門用語は飛ばし読みした部分があったのも事実だが、それ以上に膨大で細部まで鮮烈な世界の広さに息を呑むことだろう。
こういうのが好きな人も嫌いな人も、一度は触れていて損はない本。
読書
2009 - 11/16 [Mon] - 20:54
性に関する規制が最近急激に強まっている。アダルトゲームは規制され、サンタフェは廃棄の危機にあり、篠山さんは公然猥褻で捕まえられる。
「それ」がタブーになったのがいつからか分からない。だが、最近の性に関する規制問題は、戦後の治安維持法を髣髴とさせる様相を見せているのは事実だ。
健全な人間と同じように障害者にも性欲は存在する。むしろ、健常者と違ってスポーツやその他のことで容易に発散できないぶん、普通の人よりも強いのかもしれない。そうした点に関して僕達はとても無関心であり、何故だか忌避すらしてしまう。
そうした障害者の性に関する問題について綴った本がこの本だ。
この本に出てくる老人は、ためたお金で月に一度、障害者を受け入れてくれる風俗へ行く。いつもは酸素ボンベが欠かせないが、そのときに限り、酸素ボンベを外して事をなす。
死の間際に誰に会いたいか、と聞かれて言った言葉は「ソープのキョウコさん」だった。
それは忌むべきものではない。燃え盛る、生の証だ。酸素ボンベを外して苦しみながら事を行う彼の姿は、まるで苦行僧のようであり、神々しさすら覚える。
昨今の性の規制は、生の規制だ。障害者からその権利を奪ってはいけないし、僕達が奪われてもいけない。自分達が動物であることを受け入れた上で、自分達と障害者達が何も変わらないことを考えれば、必然的に見えてくるものがあるはずだ。
![]() | セックスボランティア (新潮文庫) (2006/10) 河合 香織 商品詳細を見る |
性に関する規制が最近急激に強まっている。アダルトゲームは規制され、サンタフェは廃棄の危機にあり、篠山さんは公然猥褻で捕まえられる。
「それ」がタブーになったのがいつからか分からない。だが、最近の性に関する規制問題は、戦後の治安維持法を髣髴とさせる様相を見せているのは事実だ。
健全な人間と同じように障害者にも性欲は存在する。むしろ、健常者と違ってスポーツやその他のことで容易に発散できないぶん、普通の人よりも強いのかもしれない。そうした点に関して僕達はとても無関心であり、何故だか忌避すらしてしまう。
そうした障害者の性に関する問題について綴った本がこの本だ。
この本に出てくる老人は、ためたお金で月に一度、障害者を受け入れてくれる風俗へ行く。いつもは酸素ボンベが欠かせないが、そのときに限り、酸素ボンベを外して事をなす。
死の間際に誰に会いたいか、と聞かれて言った言葉は「ソープのキョウコさん」だった。
それは忌むべきものではない。燃え盛る、生の証だ。酸素ボンベを外して苦しみながら事を行う彼の姿は、まるで苦行僧のようであり、神々しさすら覚える。
昨今の性の規制は、生の規制だ。障害者からその権利を奪ってはいけないし、僕達が奪われてもいけない。自分達が動物であることを受け入れた上で、自分達と障害者達が何も変わらないことを考えれば、必然的に見えてくるものがあるはずだ。
読書
2009 - 11/16 [Mon] - 00:31
古本市に行く。なかなか出ている本の数は多かったが、全体的に金額が高めの印象を受けた。だいたいどれも50円くらい高い。ただ、高めの分、出ている本は割と良い本が揃っていて大変嬉しい。
収穫品
「祈りの海」グレッグ・イーガン 「スローターハウス5」ヴォネガット・Jr 「ぼくがしまうま語をしゃべった頃」高橋源一郎 「セックスボランティア」河合香織 「世界が完全に思考停止する前に」森達也
本当はあと二冊欲しかった本があったが、この時点で予算オーバーなので諦める。レジで清算の時に、係りの人が計算を間違えて100円高くなった気がしたが、僕もよくわからなくなったので、まぁいいか、と思った。
ドキュメンタリー作家、森達也のエッセイ。いつもながらマスコミなどへの危機意識などの記述が多い。そのスタンスは確かに過激な部分も多分にあるが、考えさせられるところが多かった。
メディアという名の培養液は、使い方次第では僕達に知識などを与えて育ててくれる。だが、その水の中に怠惰につかり続ける僕達のの脳は、巨大化するのではなく、ただゆるやかに腐敗するだけだ。
考えなければならない。疑問を持たなければならない。
この世に中立公正なんてことはありえない、ということを理解したうえで、歩いていかなければいけない。
分かっては、いるけれども。
![]() | 世界が完全に思考停止する前に (角川文庫) (2006/07) 森 達也 商品詳細を見る |
古本市に行く。なかなか出ている本の数は多かったが、全体的に金額が高めの印象を受けた。だいたいどれも50円くらい高い。ただ、高めの分、出ている本は割と良い本が揃っていて大変嬉しい。
収穫品
「祈りの海」グレッグ・イーガン 「スローターハウス5」ヴォネガット・Jr 「ぼくがしまうま語をしゃべった頃」高橋源一郎 「セックスボランティア」河合香織 「世界が完全に思考停止する前に」森達也
本当はあと二冊欲しかった本があったが、この時点で予算オーバーなので諦める。レジで清算の時に、係りの人が計算を間違えて100円高くなった気がしたが、僕もよくわからなくなったので、まぁいいか、と思った。
ドキュメンタリー作家、森達也のエッセイ。いつもながらマスコミなどへの危機意識などの記述が多い。そのスタンスは確かに過激な部分も多分にあるが、考えさせられるところが多かった。
メディアという名の培養液は、使い方次第では僕達に知識などを与えて育ててくれる。だが、その水の中に怠惰につかり続ける僕達のの脳は、巨大化するのではなく、ただゆるやかに腐敗するだけだ。
考えなければならない。疑問を持たなければならない。
この世に中立公正なんてことはありえない、ということを理解したうえで、歩いていかなければいけない。
分かっては、いるけれども。







