サイトマップ
読書とギターとブログと |読書
FC2ブログ

Entries

読書

夏の花 (集英社文庫)夏の花 (集英社文庫)
(1993/05)
原 民喜

商品詳細を見る


 遠藤周作が「とても美しい短編」と称していた短編。彼によると、原民喜は、とても、とても繊細な人で、あまりにもその心が美しく、そして脆すぎたため最終的に自殺してしまったそうな。
 そんな事前情報があったから、内容も詩的なものかと思っていた。けれど、そこにあったのは、あまりにも現実。原爆の落ちた広島の凄惨な模様を、淡々と書いている。一人称なのに何故かその視点には距離があるように思える。だから余計に恐ろしい。
 題名の「夏の花」は、作中に出てくる主人公の奥さんの命日に飾った花、という意味合いと、おそらく原爆そのものをかけているのだろう。すごいセンス
 
 そういえば、星新一の弟子の、名前は忘れたけれど、その人がショートショートで賞を取った作品もこの名前のかけかたに似ていて、「花火」だったかな。花火と原爆をかけて話を作っていて。見事なのは、作中に戦争のイメージはまったく出てこないんだけど、一言、不思議なおじさんが言う「いいか、イー、イコール、エムシーなんやで」
 この一言の見事なこと。僕たちは最後にはっ、とさせられ、見えない何かに背筋を撫でられるのだ。

 もう戦争世代は終わった。戦争の未体験者に原さんのような戦争文学は書けないだろう。そんな中で出てくる新しい戦争文学は、この「花火」だったり、三崎亜紀の「となり町戦争」といった、見えない戦争を描いた作品なのかもしれない。
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

コメント

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://laphroaig10.blog28.fc2.com/tb.php/31-e74f9cfa
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Extra

プロフィール

scapa

Author:scapa
FC2ブログへようこそ!

最近の記事

フリーエリア

フリーエリア

フリーエリア

ブログ内検索

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる