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読書とギターとブログと |2009年10月
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読書

くらしのきもち (集英社文庫)くらしのきもち (集英社文庫)
(2005/01)
大橋 歩

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 文芸の新人賞を受賞した、大森兄弟の作品を読了。何より驚かされるのが、兄弟で書いたにもかかわらずとても端整で統一の取れた文章。まるで二人でピアノの連弾をしているような、そんな心地よさ。
 そんな文章に引っ張られて、どんどんページをめくらされる。飼い犬となんか変な友人の話が主だが、ただの青春小説かと思わせておいて、着実に皆が狂っていく様は、久しぶりにぞくりとさせられた。文藝らしい、と言ってしまえばそれまでなんだけど、僕は文句なしに拍手を送りました。
 話題性もあるし、実力もあるし、何より支えあっていける最高のパートナーがすでにいる、という点で、息の長い素晴らしい作家になってほしいと思いました。


イラストレーターらしい作者のエッセイ。

 僕は「他人の悪口を言う人間は嫌いです」みたいなことをのたまう人はロクでもない人間だという信条を持っているので、ああ、この人はそういう人なんだ、とかすごく失礼なことを思いました。
 
 全体的に謙虚な発言をしているようで、その全てがなんだか上から目線な文章ばかりで、わりとイラッとしました。
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読書

ハリウッド脚本術―プロになるためのワークショップ101ハリウッド脚本術―プロになるためのワークショップ101
(2001/03)
ニール・D・ヒックスNeill D. Hicks

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物語を作りたいと思っている人は、必読の一冊。前評判どおりに、ハウツー本の中では軍を抜いて優秀な本だった。

読書

くるーりくるくるくるーりくるくる
(2003/11)
松山 巌

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 智に働けば角が立つ。情に棹せば流される。意地を通せば窮屈だ。
 中庸と優柔不断は紙一重だとしても、僕は真ん中をするすると進まざるをえない。
 正義などないと思っているから、身動きが取れない。虚構の正義か、欺瞞の悪にでもなりきれれば楽なのかもしれないけれど。


 エッセイなのか、小説なのか。ふとした風景と、色々な過去の思い出が、万華鏡のようにくるくると鮮やかに激しく入れ替わる。
 つまりはそういう本なので、あまり語ることはないのだが、最初の方でえらく猫ネタが多かったから、最後も猫ネタで締めても良かったんじゃないかと思った。

読書

アトムたちの空アトムたちの空
(2005/10)
大城 貞俊

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 だから少年モノはいかんって。とりあえず泣けてくるやん。

 沖縄あたりの離島に引っ越した主人公一家。その離島での様々な日常が描かれた本。

 本島と離島との生活の違いや、イジメがあると匂わせておいて全然無いとか、アトムそんなに関係ないとか、消化されていない部分は確かにあるのだけれども、ドラマ性を意識せずに離島での日々を描いたと言えば通じるし、そうした瑣末な部分を踏まえても、補って余りあるほどの臨場感と迫力がこの本にはある。
 沖縄近くということで、特徴的な方言や戦争の記憶など、ディテールの細かさがこの本の厚みに繋がっているし、そうした環境の中で生きる、少年の古き良き青春の姿はに、どうしても涙を誘われてしまう。
 ムラ社会特有の閉鎖性と温かみ。そうしたものは、文明社会におぼれてしまった僕達には遠い世界だ。それが良いことなのか悪いことなのかは分からないが、少しだけ、うらやましいと思った。

 余談だけど、この本、文の京文芸賞受賞作らしいです。さすがに初めて聞いた名前の賞で、なんだこりゃと思ったら、なんか東京都の文京区がやってる賞らしいです。まぁ、いろいろあるもので。

読書

太陽がイッパイいっぱい (文春文庫)太陽がイッパイいっぱい (文春文庫)
(2006/09)
三羽 省吾

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最近の自分を振り返ってみると、どうも軽い躁鬱病に近い気がします。あ、今は欝なのか。


 素晴らしい本を読み終わった時の爽快感を例えるならば、村上龍や花村満月あたりは射精の快感あたりを持ち出すのだろうけれど、僕はむしろ週末にビールを飲んだときの充足感に例えたい。

 三羽省吾の新潮長編小説大賞受賞作。
 冒頭は、主人公が大学生活に虚しさを覚え、土方の仕事で肉体をいじめることに快感を覚える描写が続く。
 なるほど、そういうタイプの純文学か、と思いきや。そこから急にアクセルがかかり始め、あれよあれよという間にスピード感ばつぐんの青春小説と様変わりするのだ。
 
 筋肉バカのカンや、目の病気を抱えた中年のハカセ。赤面症のクドウなど、様々なキャラクターが集う土建屋「マルショウ解体」を舞台にして、話が進んでいく。
 恋愛やケンカ。将来のこと。それらはまさに青春と呼ぶ以外何物でもなく、全てをまとめて、上手く消化させた手腕はさすがとしか言えない。
 また、自由な身と、社会構造に縛られた者との対比の小道具として、野良犬を配置したり、色々と上手い。
 ラストは、そうもってくるだろうな、と読めてはいたが、その読みをきちんと抑えて上回ってくれて、僕はもう言うことがございません。
 
 青春小説の代表作として、また今を生きる若者の一人として、読んでいて損は無い本だと思った。

読書

雪だるまの雪子ちゃん雪だるまの雪子ちゃん
(2009/09)
江國 香織山本 容子

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 日ごろの心労がたたってか・・・というほどに切迫した日常は送っていないので、ただの風邪か何かだったのでしょううが、なんだか体調が優れなくて一日寝ていました。意味も無く憂鬱。元気になってきた今頃になって、なんか継続的にお腹がすいて困ってしまいます。ラーメンはまずいよねえ


 雪子ちゃんは、れっきとした野生の雪だるま。毎年冬になると、夏眠から目覚めて、色んなところにあぞびに行きます。

 雪子ちゃんの居候している小屋の持ち主のおばあさんなど、雪子ちゃんの周りの人はあまりに善意に満ちていて、ちょっと物足りなさを感じる反面、子供向けのものとしては、あるべき姿なのだろうと変に納得してしまいました。自分を含めて、人がみんなこんなに良い人だったら、僕はもうちょっと人生を楽しく生きていけると思います。けっ
 いわゆる動物居候モノというのは児童書のパターンの一つで、パディントンとかブンダバーとか、そういう作品を思い出します。
 ただ、この作品の惜しむべきところは、肝心の雪子ちゃんのデザインがあんまりかわいくない点。頭のところにある陰っぽいものが、たぶん髪型の影のつもりなんだろうけれど、どうも繋がったゲジゲジ太マユゲにしか見えなくて、これじゃあこち亀の両さんじゃあないか、と苦笑せざるをえず、文章から感じ取れる雪子ちゃんの可愛らしさが半減してしまったように思いました。

読書

ウニバーサル・スタジオ (ハヤカワ文庫JA)ウニバーサル・スタジオ (ハヤカワ文庫JA)
(2007/08)
北野 勇作

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 こういうのあるから、SFって読んどかんといかんのよね。

「かめくん」」で有名な北野さんの本。全編においてかぎかっこが徹底的に排除され、まるで記述ではなく口述で話を聞いているような気がしてきます。
 そんな表現方法で描かれるのは、ウニバーサルスタジオという世界について。
 その内容。外観。スタッフからの視点。観点をくるくると変えて、徐々にウニバーサルスタジオというものを描き出し、時にグロテスクなその世界を、コミカルな文体で描くことでよりシュールな独特の世界が、眼前に開けてきます。
 その世界は、現行の大阪を煮詰めてできた濃い部分を抽出したような世界。そのセンスのバツグンの素晴らしさに、脱帽!

読書

柴田さんと高橋さんの小説の読み方、書き方、訳し方柴田さんと高橋さんの小説の読み方、書き方、訳し方
(2009/03/13)
柴田 元幸高橋 源一郎

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僕にはやっぱり、文学ってわかんねえよ。母ちゃん!

読書

エレンディラ (ちくま文庫)エレンディラ (ちくま文庫)
(1988/12)
ガブリエル ガルシア・マルケスG. ガルシア・マルケス

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 圧倒的な感動は、圧倒的な絶望にと繋がります。それに僕は耐えて、歯を食いしばっていかなければなりません。
 
 ノーベル賞作家、ガルシア・マルケスの綴る作品集。シュールという言葉でまとめてしまうには失礼なほどに、奥底見えぬ作品が揃っています。
 
 特に表題作でもある「エレンディラ」は中篇の傑作。尊大な祖母に奴隷のように従う美女エレンディラ。彼女が不注意で火事を起こしてしまってからは、その損害を償う為に、自らの体を使ってお金を稼がされるのです。
 
 マルケスの作品に連なるのは、「血」なのだと思います。努力やそんなものであがなうことのできない「血」。祖母から働かされたエレンディラもそのラストで強欲と自由を求めて走っていきます。その姿は彼女が恐れて忌んだ祖母の姿のよう。

 自分も文章を書いて始めて分かってくる凄さ。純文学とは暗く、分かりにくく、面白みの無いものではあるけれども、それ相応に権威を持ち、長く評価され続けるだけの理由は、確かにそこにあるのです。
 そしてその生半可な努力だとかそういうものではどうにもなりそうもない作品に触れてしまうと、心が砕けそうになるし、大声で泣き出したくもなります。
 でも、それを認めながら、一歩一歩努力していくしか僕には手立てがないのだし、僕に出きる方法で、ゆっくり足元を踏みしめて進んでいくしかないのだと思います。
 がんばろう
 
 

読書

あしたのジョーは死んだのか (1978年)あしたのジョーは死んだのか (1978年)
(1978/12)
朝稲 日出夫

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正直なところ、まったく存じ上げない作家さんでした。単純にタイトルが気になったので借りてみました。

 表題作を含む中篇2本。
 読んだ感想としては、なかなか悪くないな、という感じ。「少女微笑」という作品の舞台は中南米で、独特な世界観が魅惑的です。日本人作家で中南米を舞台にする人って、他に星野智幸さんくらいしか知らないから余計に興味深いです。
 針金細工を売って日銭を稼ぎ、娼婦を買う日々。そんな日々の中で出会う無垢な少女。構成として定番といえば定番だが、娼婦の妖艶さと、少女の純真でかわいらしい描写がとても見事に書かれていて、素晴らしかったと思います。

 表題作の「あしたのジョーは死んだのか」も秀作だと思うのだが、惜しむらくは、あしたのジョーの記述が最後だけしか出てこないところ。冒頭で主人公がマガジンとサンデーを買うのだから、そこで一つ挿入しておけば良かったのに! と思いました。

 もっとも、全体的に小さくまとまりすぎていてパンチ不足感はありました。実際にもあまり本はたくさん出されてない方のようですが、このまま長く続けられたら、中堅の素敵な書き手になったのではないかと勝手に感じただけに、残念に思う次第です。

読書

ヒガシくんのタタカイヒガシくんのタタカイ
(2000/07)
群 ようこ

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 まだまだ、いける


ヒガシくんは、ジャニーズ系でエスカレーター式の名門中学に通う男の子。ダンディな父親は会社の社長で、父が再婚した母親は、美人のスタイリスト。連れ子の女の子ももちろん美人。通学電車の中で、女の子に一目ぼれされて告白された。
 そんなバカな!

 題名に「タタカイ」とあるから、新しい家族になじめぬ葛藤や、成長過程での友人とのケンカとかそういう青春系の「タタカイ」だと思っていたのだが、この作者が指す「タタカイ」とは、女性に対するメンドクササのことを表しているのであり、それに関してヒガシくんは始終「メンドクサイ」といい続けている。
 そんなバカな!

 こんな頭の悪い設定を、何も考えずに作ったのか、それとも意図して作ったのかは分からないが、卑しくも作家であるならば、もう少しリアリティを込めて人物設定をすべきであろう。また、そうした架空性、虚構性を強調したいのなら、そうしたことを意識した作品作りをすべきだと思うし、そもそもプロットの時点で編集がまった、と言うべきなのだ。
 群ようこさんはエッセイの名手なので小説は不得手なのだと思いたいが(僕はエッセイもあまり好きではないが)、まあ、いくらなんでもこれはあんまりだろうと思ってしまった。読者をバカにするのも程がある。

 あんまり腹がたったので、不細工で頭が悪い主人公で、父親は飲んだくれで、再婚した相手はすべたのオバはんで、連れ子は性格の悪いデブ、という小説でもいっちょ書いてやろうかと思ったが、そんな暇も実力も立場も権利もないので、やめることにしました。
 

読書

中島らもの特選明るい悩み相談室〈その3〉ニッポンの未来篇 (集英社文庫)中島らもの特選明るい悩み相談室〈その3〉ニッポンの未来篇 (集英社文庫)
(2002/11)
中島 らも

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 疲れたら、エッセイを読もう。疲れたら、らもさんの本を読もう。


 洗濯機が変な音を出している

読書

目からウロコのシナリオ 虎の巻目からウロコのシナリオ 虎の巻
(2005/11)
新井 一

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 神社でお祭り。薄暗い中にほのめく屋台の灯りが妖しい。それはまさに異界の輝きなのであって、やはり祭りとはハレなのだと考えさせられる。
 境内の中から風に乗って聞こえる念仏の音と、屋台が流すJ-POPの音楽が不気味に交わって、独特の雰囲気がそこかしこに満ちている。銀杏のつぶれた匂いが鼻につく。
 僕はこんな光景を見ながら、ゆっくり歩く。
 加藤和彦さんは今、どんな光景を見ているのだろうか。
 「あの素晴らしい愛をもう一度」の印象的なスリーフィンガーを聞くことは、もう出来ない。「タイムマシンにおねがい」の力強いエレキの音色をもう聞くことは出来ない。加藤さんの柔らかく暖かな笑顔をもう見ることは出来ない。
 誰もに等しく死は訪れるのだとしても、あまりにも痛ましい死に、僕は悲しくてやりきれない、としか言いようがない。
 心より、ご冥福をお祈りします。


 さて。シナリオに関する本。作者の肩書きがシナリオ・ドクターとか書いてるあたりで、うさんくささを覚えてしまう。
 書いてる内容は、精神論が主。僕達素人がこういう本に求めるのは、てっとりばやくテクニックを行使できる公式などであって、別に「好奇心をもて」とかいう精神論はそんなこと言われても仕方ないし、そもそもそれくらい素人でもわかっとるわい、という話なのである。
 端的に言うと、あまり使えない本。
 色々本を読んできて思うのだけど、一番信用ならない本は、ハウツー本なのだと思う。
 最近、駁論ばかり書いてるきがして心苦しいなあ。

 追悼

読書

宇宙嵐のかなた (ハヤカワ文庫SF)宇宙嵐のかなた (ハヤカワ文庫SF)
(2006/05)
アルフレッド・エルトン ヴァン・ヴォクト

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明日明後日と近くでお祭りがあるので、その練習なのか、お囃子の音が聞こえてきます。あのメロディーの艶やかでいて、なんとも切なく哀愁に満ちているのはなぜなのでしょうか。


 ヴァン・ヴォクトといえば、やはり「宇宙船ビーグル号」がSF屈指の名作として、まず頭に上ることでしょう。もちろん僕も頭に上ったのであります。そんなわけで「ビーグル号」を借りようと思ったのですが、残念ながら図書館に無かったので、こちらを借りてきました。
 
 主人公は美人の艦長でロール家の御息女セシリー。この設定だけで、ラノベなら挿絵には困らない気がしてしまいます。絶対、縦ロールの金髪女の子だぜ!
 
 そのセシリー率いる巨大艦スタークラスター号が、今まで知られてなかった文明を発見する。その文明はかつてロボットと忌避され、地球から追放された種族であるのだが、その種族は、彼ら非人間と人間との間に子供を作り、不思議な力を持つ混成人を生み出していたのだった・・・
 
 という感じのスペースロマン。もしくはワイドスクリーン・バロック。ここらのSFのジャンル分けはよくわからないので割愛します。
 巨大な戦艦というのは男の子の心をわしづかみにするもので、もう艦が宇宙嵐の中につっこむくだりは、まさに早る手を押さえながら読み進めていました。惜しむらくは、せっかくの戦艦なのに、砲撃などまっとうな戦闘描写がない所。この時代のSFってとりあえず重力ビームを使いたがるのはなぜなのだろう。

 気になった点も少し。話の柱は、美人艦長と混成人のリーダーとの恋愛模様なのだけれど、混成人の方の、人物描写がちょっと薄いと思ってしまった。あまり使いたくない言葉を借りるならば、人間が描けていない、と思ってしまった。
 ただ、美人艦長は上手く描写がされているし、ここの大きな問題は、混成人が二つの心を持っているとかいうよくワカラン設定のせいなのであって、作者の力量のせいではないのだろう。この設定が一番キモなのにあんまり生かせてなかったなぁ。
 というか、全体的に設定負けしていた感が否めないのは少し残念だった。でもこれらは僕の贅沢というべきものであって、なんだかんだと楽しく読めたのだから、まぁ良いのだと思います。

読書

十二支の童話十二支の童話
(2003/01)
薄井 ゆうじ

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 十二支のそれぞれの動物をテーマとした12個の物語。
 
 鼠算式に増えるネズミや、ニワトリが生る木に、ヘビのコンビニ。童話と呼ぶには寓話性などが足りないし、シュールすぎる。かといって夢十夜ほどまで独創的な世界は作り上げていないから、なかなか評価に困ってしまう。
 ただ、兎が車掌を務める兎エキスプレスや、竜の女プロレスラーことトルネードお龍など、時々おっ、と思わせる設定の話があるので、もっとこういう所をツメていけたら面白かったかもしれない。
 特に兎エキスプレスはこういうので児童書一本書けそうだと思った。やっぱ書いてもらうなら斉藤洋先生だろうか。いかにもだなー

 つまりこの本の敗因は、どこをとっても中途半端だということなのだ。
 

読書

珍虫の愛虫記珍虫の愛虫記
(1999/08)
新開 孝

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変わった虫について写真つきで書いてある本。やっぱり昆虫の本はフルカラー写真を見るのが一番楽しいですね。特に素手ではつかめないもさもさした蛾の幼虫などを見るとわくわくしてしまいます。

 ただ、珍虫と銘打つ割には、そんなに珍しくない虫ばかりなのと、なぜかラインナップがカメムシだらけなのは著者の好みだということで。

http://www.cnn.co.jp/showbiz/CNN200910080031.html

 ノーベル文学賞は、ドイツのヘルタ・ミュラーさん

http://www.afpbb.com/article/life-culture/culture-arts/2650301/4728396

 ブッカー賞はヒラリー・マンテルさん


 どちらの作家さんもまったく聞いたことがありません。でも、海外作家は基本的に、こういう賞を貰って初めて邦訳されるわけで、僕がこの方達を知らないのも当然のことなのです。うん、たぶん。

 ちなみに、ノーベル賞作家ってたいがい日本で知られてない作家なので、受賞してから出版社が邦訳版をがりがり作り出すわけです。でも、たいがいあんまり売れないので、初版くらいですぐに書店さんから消えて行ってしまいます。
 それからは当分、その本が日本で日の目を見ることは無いので、今のうちに一冊くらい買っておいて、10数年したらプレミアがちょっとついているかもしれないよ、と作家の先生がおっしゃておりました。
 
 最近はやりのFXよりかは堅実な投資かもしれません。

読書

エロマンガ・スタディーズ―「快楽装置」としての漫画入門エロマンガ・スタディーズ―「快楽装置」としての漫画入門
(2006/11)
永山 薫

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 一度読んで見たいと思っていたところ、図書館で発見。
 それにしても、僕の行きつけの図書館、借りるときは無人機械で貸し出しできるからいいけれど、返却の際は司書のお姉さんが忘れ物や破損防止のためにページを繰ってチェックするんだよなぁ。うーん、羞恥プレイ。

 
 これまで無かった、エロマンガを包括的に分析分類し、批評した本。といえば聞こえが良いが、つまりはエロマンガのレビュー本。
 面白いといえば面白いんだけども、巨乳の変遷やSM漫画の違いについてとうとうと述べられてるわけで、それについて僕がいったい何を語ることができようか。
 
 まぁ、表現規制とかもろもろうるさい最近だけれども、エロ小説にしろ漫画にしろ、エロだからこそ出きる自由さというものは確かにあるわけで、それは今後も絶対に失われてはいけないものだし、僕達の権利として、戦わなければいけないものなのだと思った。
 これくらいそれっぽいこと書けばもういいかな、もういいよねw

読書

世界が生まれた朝に世界が生まれた朝に
(1996/11)
エマニュエル ドンガラ

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 007はプロズナンが好きでしたが、ダニエル・クレイグもこれはこれでアリかな、と思いました。
 というか、カジノ・ロワイヤルがなんかすごい面白かったんですけど。


 ブラックアフリカ文学大賞受賞作。アフリカの部族に生まれた緑の目を持つマンクンクの大河小説。マンクンクの成長と共に、白人の来訪、文明化、黒人独立などが織り込まれ、読みごたえのある作品となっている。
 黒人をテーマにした小説だが、作者がコンゴ生まれ、アメリカ育ちと言う環境から、決してかたよった小説ではなく、むしろ一歩引いた立場から冷静に歴史上の黒人、白人のあり方を描いているように感じられ、そうしたスタンスが会話を排除し、作者の語りが多い特徴的な文体を作り上げているようだ。

 マンクンクという名は、かつて緑の目を持った部族の先祖から取ってつけられた名で、「壊すもの」とした意味を持つ(まるでディケイドじゃないか!)。その名の通り、彼は自分を信じ、色んな物に立ち向かい、抵抗するのだが、後半はあんまり壊せてないんじゃないかな、と思ったり。

 こういう本を読むと、どうしても白人文化とキリスト教の傲慢性を考えざるをえない。もっともそれは白人に限ったことではなく、例えば僕達日本人もアジア圏の国に似たようなことをしたわけで、個人単位から国の規模までいつまでもつきまとう問題なのだろう。
 奴隷制度などは救いようが無いが、宗教に関する問題などは、一方が善意でやっていることだから難しいというかタチが悪い。特にキリスト教などは別に個人的に好きでも嫌いでもないけれど、自然信仰を排除すべく森林を伐採した過去や、未開国に対する強制布教の問題などは、きちんと見直さなければいけないのだと思う。思想の自由を縛るほど恐ろしい侵略はないのだ。
 自分が正しいと思い、相手のためになることだと思って何か行動することは大切だが、そうした思考は常に正しく、常に間違っている。人の思想には常に独善性がつきまとうことを考えながら、行動しなければならないのだと思うのである。
 逆に考えると、そうしたことを理解したうえで人を支配する独裁者はある意味では究極の形なのかもしれない。

 こういう良い本を読むと、くだらないことを考えて読みにくい文章を書いてしまいます。ただ、僕の思考の稚拙さはともかく、考えることができる小説、というのはやはり素晴らしいものだと思いますし、まだまだ文学の力を信じたくなるのです。

読書

ヒロシマ・ノート (岩波新書)ヒロシマ・ノート (岩波新書)
(1965/06)
大江 健三郎

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 何の利益を与えることもできないのに、無償で自分を支えてくれる人たちを見ると、どう恩返しをすればよいのか困ってしまいます。僕にできるのは、ただ、頭を低く、低く下げて感謝するだけです。


 黒丸メガネの大江健三郎先生の有名な本。そろそろ教養として読んどかんといかんよね、と思って借りてきた。
 
 ヒロシマを訪れた大江先生が、原爆について語る本。こういう本はとても読書感想文が書きやすい。どこを抜き出して、どういう構造の持っていき方をすれば選考員が評価し入賞するかなど、容易に読み取れるし、それだけのものを確実に仕上げられる程度の自信ならある。
 けれども、この本を、そういう普通の道徳本の一つとしてカウントしてしまってはいけないのだ。原爆はいけないですね。多くの人が苦しみましたね。原爆はなくしましょう。戦争はなくしましょう。そんなの分かっている。誰だって分かっている。
 この本が僕達の心を抉るのは、そこに生の意志があるからだ。原爆に体を蝕まれ、病気で死ぬよりも自ら死ぬことで原爆を否定した人。ケロイドを衆目に晒して戦った人。そこには意志がある。人として自らの意志で生き続けようとする意志がある。
 
 うんぬん

 いろいろ書ける気もするけど、考えがまとまらないし飽きました。
 とりあえず、核保有国の元首はヒロシマに巡礼して、この本くらいは読んどくべきだと思う。
 

読書

ジョナサンと宇宙クジラ (ハヤカワ文庫SF)ジョナサンと宇宙クジラ (ハヤカワ文庫SF)
(2006/10)
ロバート・フランクリン ヤング

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今帰りました(午前1時)。高校の友人との飲み会と、企画に関する会議がブッキング。
 先に約束していた飲み会を優先したのですが、飲みながら心に陰る影は、きっと得体の知れない飲み代の怖さだけではなく、自分の企画会議に自分が出席していないことへの罪悪感だったのでしょう。
 明日も企画に関していろいろやらないかんことがあるので、徹夜で飲ませようとする友人を金色夜叉の寛一のごとく蹴り飛ばして終電で帰ってきました。
 関係者各位にはご迷惑をおかけして申し訳なかったのですが、ま、ともあれ、たまには古い友人とバーでゆっくり飲むのも、なかなか悪くはないものでした。やっぱマッカランの18年は美味しいんだなあ


 ヤングの短編集。SFと呼ぶには少しチープかもしれない。クジラが宇宙を泳ぎ、フライパンが空を飛ぶ世界。まるで児童書をてこいれしたような作品。こういう本があるから、SFは子供の読み物だとバカにされた時代があったのかもしれないが、こういう本があるからこそ、SFはいつまでも無くなってはならないジャンルなのだとも思う。

 ヤングは決して一流の作家とは言いがたい。この本の収録作も、悪くはないのだが、一流の作品と比べると、粗が目立ってしまう。造りの甘さが目立ってしまう。
 だが、そんな作品から見えてくるヤングの優しい心根は、他の作家に負けない一流のものなのだと、僕は思うのである。

読書

すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた (ハヤカワ文庫 FT)すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた (ハヤカワ文庫 FT)
(2004/11/09)
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア

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 予備校で英語の授業を受けたときの話。先生が天候と主人公の心境は比例するから、そうした部分も考えながら長文を読み取る、みたいな話をしたことがありました。その授業が終わってから僕は講師室に向かって、「さっきの話、カミュの小説にはあてはまりませんよね」と話しに行くと、その先生はヒゲもじゃの顔をニヤリと歪めて「君、おもしろいね」と言ったのでした。
 それが、僕と恩師のファーストコンタクト。先生は今、何をされているのでしょう。

 まぁカミュはともかく、基本的に天気と言うものは人の心に影響を与えるわけで、やはりこんな雨の日にはなんだかわけもなくメランコリイに浸ってしまいます。それでも台風が近づいてくると、今度はわけもなくワクワクしてくるのだからよく分からないものです。
 お酒でも飲みながら雨が激しくなるのを待とうかと思っているのですが、いっこうにアルコールが回ってきません。やはり嵐につきものはお酒と酔いだというのに。ああ、でもスコッチじゃないな。バーボンですね。


 ティプトリーの連作。
 メキシコのキンタナ・ローという場所を舞台とした不思議な物語。暗い童話のような感じすら受けるこの作品。イタロ・カルヴィーノっぽくない? と思ったら、世界幻想文学大賞を受賞していたんですね。なんだか納得。
 幻想文学なので、「接続された女」みたいなティプトリーのハードSFを期待していた人(僕を含む)は少し残念。でもこれはこれでけっして面白くないわけではないのであります。
 まぁつまり、色んなスタイルの作品書けてすごいよねーティプトリー、という嫉妬と羨望と嘆息が入り混じった感想がくるくる回った作品なのでした。

読書

むかし卓袱台があったころ (ちくま文庫)むかし卓袱台があったころ (ちくま文庫)
(2006/11)
久世 光彦

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 久世さんのエッセイ。久世さんはテレビで何度か見かけていたように思ったのですが、06年に亡くなられていたようです。知らなかった。
 子供の頃など、基本的に昔の思い出話に関する話が並びます。
 ノスタルジーというものは、人の心を等しく打つもので、僕は久世さんの少年時代を生きていないはずなのに、語られる昔をなぜだか懐かしく、切なく感じてしまうのです。
 特に父や母の思い出話にはもう、ああと叫んでしまいたくなる苦しささえ覚えてしまうのです。今なら少し分かる父の苦悩や苛立ちや愛情に、当時は反発し憎みすらしてしまうのは、息子の常なのでしょうか。
 今は亡き父の姿が脳裏にちらつき、少しだけ、泣きたくなりました。少しだけ、母の声が聞きたくなりました。

読書

素晴らしい日本野球 (新潮文庫)素晴らしい日本野球 (新潮文庫)
(1987/07)
小林 信彦

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ソロギタリストの押尾コータローさんのライブに行ってきました。さすがソギター。なんともすっきりしたステージが新鮮でした。
 途中まで少しギターの交換などで間が悪い感も無くは無かったけども、後半にがぜん盛り上がってきて、大満足して帰りました。やっぱり一人メンバー紹介は名人芸ですねー。
 僕も押尾さんのギターをコピーしているから思うのですが、あれだけミスが少なく、かつ丁寧に弾けるのはやっぱりさすがだと思います。まぁプロだと言われればそれまでだけど。
 しかし、ギター一本で通路を練り歩いて、すぐ近くで弾いてくれた時は、やっぱファンとしてどうしようかと思いましたw


 小林信彦先生のご本。これ、たぶん高橋源一郎がパロってますよね。
 外人の学者が日本について書いた論文、という体で、なのにその学者は日本に行った事がない、という設定。つまりその論文はトンデモなモノが出来上がるのである。
 まるでラーメンズのコントを見ているようなそんな気分。上質なユーモアと見るか、虚構のパロディと取るかは自由だが、どういう賛否があろうとも、とりあえず面白いから良いのだと思う。
 他にも、老人でハーレクイン・ロマンスをやった、ハーレクイン・オールドには笑わされた。同じことをやっているのに、なぜ登場人物が老人だと、雰囲気が出なくなってしまうのか。それはやはり若さや容姿や才能といったものが、結局選ばれた一握りの人間しか享受できないものだからだろう。一部の完璧超人がやるからハードボイルドになるのである。
 清水義範もそうだけど、文体模写が上手い作家は、たいてい面白いのである。


おまけ

読書

タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫 SF 262)タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫 SF 262)
(2000)
カート・ヴォネガット・ジュニア

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年に一度の古本市に行ってきました。収穫は8冊で1300円也。個人的にはチャンドラーとローソンの作品集が買えたので満足。イアン・フレミングの007シリーズは安かったのでご愛嬌。


 「スローターハウス5」であまりにも有名なヴォネガット・ジュニアの代表作。こういう本があるからやっぱりSFは読んどかなきゃいけないんだよな。
 語彙力が貧困で情けないが、ぐいぐい引っ張られるとはまさにこの本のことを指すのであって、ページを繰らせる展開力と、リズミカルな文章は、心地よい音楽を聴いているよう。
 
 主人公のコンスタントは、富豪として裕福な暮らしを送っていたが、全能者ラムファードに不吉な予言をされ、彼の運命は流れていく。
 読んでいて、この話の構成、どこかで見たことあるぞ見たことあるぞと考えていて、構成を書き出してみた。
 
 コンスタント(自分の運命をしらない。富豪と言う点で貴種)
 予言に導かれ、財産と記憶を失い火星へ。
 色々あって、相棒と共に水星へ
 水星を脱出する時に相棒と別れる
 地球に帰還すると、まるで神のごとく盛大な出迎えを受ける。
 記憶を取り戻す
 タイタンに行って、ラムファードとラスボスを倒す(ちょっと違うが、まぁそんな感じ)
 預言者ラムファードが死に、自由に

 まぁ、おおざっぱに構成を書くとこういう流れなのだけど、思い出した。そう、ドラクエⅤじゃないか!
 どうりでワクワクドキドキするはずなのである。なぜならこれは精巧かつ忠実な冒険小説なのだから。
 優れた冒険小説にして、素晴らしいSF。あわせて神がかった小説となる。僕の読んだ過去最高のSF,というと褒めすぎかもしれないが、名作といわれる作品に比肩することだけは間違いない。
 死ぬまでに読んでおいて損はない一冊。

Extra

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