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読書とギターとブログと |2009年01月
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読書

追憶のハルマゲドン追憶のハルマゲドン
(2008/08/22)
カート・ヴォネガット

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 カート・ヴォネガットは第二次大戦に兵士として参加し、ドレスデンで捕虜となっていた。そこでの経験があの名作「スローターハウス5」に繋がったことはあまりにも有名である。
 そして、この作品集も、彼の戦争経験に基づいた作品群が収められている。

 「バターより銃」は、捕虜達が今は食べられない料理のレシピを手帳に書き、それを聞いている監視官はイライラする話。最後に監視官が降格させられて、捕虜と料理の話をする所では、何か人としての普遍的なものを見せられたように思う。
 「ハッピー・バースデイ、1951年」が今回のイチオシ。老人と子供、二人で暮らす一家がある。戦火が残る中で迎えた子供の誕生日に、老人は子供を森の中の静かな場所に連れて行く。「わしがおまえにくれてやれるのはこれだけー戦争から離れた2・3時間だ」そういう老人の心は子供には届かない。子供は町を走る戦車に目を輝かせる。その乖離のあまりの切なさ!

 ヴォネガットは大戦でドイツや日本を肯定はしない。彼らが戦争の元凶だと言う。だが、同時にアメリカやソ連も肯定はしない。彼は兵士として戦場に行ったからこそ、そこで自国が何をしたのかを知っている。どこにも正義はない。
 戦争を体験した世代はどんどん死んでいく。戦争を知らない子供達である僕達に戦争文学はかけないだろう。戦争を本当に理解できないだろう。戦争が持つ本当の怖さを分らぬまま、変な幻想だけが増幅していく。そして歴史は繰り返される。
 それは止められないことなのかもしれない。それでも平和であって欲しいとやはり願う。
 そのためにも、僕達に出来ることは、ただ、本を読んで、いつまでも戦争を忘れないことだ。そう、思った。
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読書

20世紀SF〈6〉1990年代―遺伝子戦争 (河出文庫)20世紀SF〈6〉1990年代―遺伝子戦争 (河出文庫)
(2001/09)
グレッグ イーガンダン シモンズ

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 90年代の短編SFの傑作集。さすがに聞き覚えのあるそうそうたる名前が並ぶ。イーガン・シモンズ・ソウヤーにバクスター。みんな今も第一線でバリバリ活躍してる人たちですね。

 年代が新しいせいもあって、古さは感じず、むしろ現代SFの形を作ったのはこの人たちなんだなぁ、と考えさせられた。

 個人的にはやっぱりダン・シモンズの「ケンタウルスの死」が大好き。もうシモンズは大好きです。
 そもそも、先生が子供達に話を作って聞かせてあげて、去っていくという設定だけで涙を誘うのでずるいと思うわけだが、ちゃんと話と自分とを重ね合わせて、自分の進退と共に話を変えていったり、貧しい子供の可愛そうな環境など、もうああっ、と頭を抱えて布団に潜り込みたくなるような感じがしてしまう。なんか自分の中にも子供を愛する気持ちって残ってたんだ!というかそんなものをむりやり引っ張り出される感じ。もう、ずるいよなあ

 イーガンの「しあわせの理由」はイーガンらしいきっちりしたまさにサイエンスな本。アレン・スティールの「マジンラ世紀末最終大決戦」はアニメオタクなんだなぁと思ったけど、男の子のロマンあふれる本。こういうのも好きですね

読書

戦国軍師入門 (幻冬舎新書)戦国軍師入門 (幻冬舎新書)
(2007/03)
榎本 秋

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関が原の戦いのあたりの本を読みたかったのだけど、意外と無いんですな。なんかびっくり。
 仕方ないので、こんなん借りてきました。

 色々な戦国軍師をさらっと学べる本。亡くなった友人が、黒田官兵衛が好きだったなぁなどと思いながら読むとなんかしんみり

読書

クワイエットルームにようこそクワイエットルームにようこそ
(2005/12)
松尾 スズキ

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映画化されてたっけ。戯曲家の松尾スズキの芥川賞候補作。最近は前田司郎やら鴻上さんやら、戯曲の世界の人が純文学でも活躍することが多いですね。

 ヤクのオーバードーズで精神病院にぶちこまれた私は、精神病院の変わった人たちと病院生活を送るはめになる。
 終始、主人公の私は、自分だけはおかしくなく、早く精神病院を出るべき人間だと言うスタンスで過ごす。確かにクスリのやりすぎで収容されただけで、彼女に変な部分は無いように思う。だが、それはあくまで主観的にそう思っているだけで、周りから見たらどうなのかは分らない。また、精神は健康でもクスリでラリってしまえば、それは精神を病んでいるのとも同じことだろう。
 一風変わった人たちが織り成す陽気さと陰鬱さが入り混じった感じが、劇作家特有の脚本的なテンポよいスピードで書かれ、なんとなくリズミカルな世界観はロックでも聴いているようだ。

 最後に、いろいろあって私がぶちキレる件は、うまいこと見せ場を作るなあと思った。こういう見せ場の作り方と言うか、やっぱりドラマ的な話の作り方はさすが劇作家だなぁ、といつも思う。そして、だからこそ面白いのだ。
 純文学作家は戯曲家に師事して、もうちょっと面白みのある文学に挑戦していって欲しいですね。でないと劇作家に賞レースを総なめされる、相撲界みたいなことが近い将来に起こってくるんじゃないだろうか。なんだかんだ、面白いものが強いのである。
 

読書

進化した猿たち (〔1〕) (新潮文庫)進化した猿たち (〔1〕) (新潮文庫)
(1982/01)
星 新一

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星新一が海外の1コマ漫画の収集家であるのはファンならば有名な話なのだが、そのコレクションをまとめて書籍化したものがこれ。1コマ漫画ってすなわち1カットアニメみたいなものなので、勉強になるかと思い、探してみたのだがすでに絶版。しかしさすがはアマゾン先生ですね。中古であったので注文して取り寄せました。状態はあまり良くなかったけど、僕はコレクターではないから気にしないのです。安かったしね!

 というわけで、本書は星新一秘蔵のテーマ別に分けられた1コマ漫画と、そのテーマについてのエッセイで構成されている。
 1コマ漫画は、例えば逃げている死刑囚に、「戻らないと撃つぞ!」と言ってるシーンなど、非常にバカバカしいものが多いのだが、たまによくヒネられた作品があって思わずゲラゲラ笑ってしまうものもある。
 星新一のとても冷静なエッセイとのギャップもまた素晴らしい味を出している。 

 観客に息つかせずに、どんどんネタを重ねても良いし、起承転結つけても良い。1コマ漫画はそれだけで1カットアニメが作れてしまう。そこには色々なシチュエーションや設定があるが、奇抜なものは実はあまりない。日常のどこにだって、ちょっとした笑いは潜んでいる。
 ネタが思いつかないとか、脚本が書けないというのは、ウソだ。それはただ、僕達が考える努力を怠っているだけだ。そう、確信させられた。

読書

瀬名秀明ロボット学論集瀬名秀明ロボット学論集
(2008/12/12)
瀬名 秀明

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これはさすがに読むのに時間かかったなぁ。「パラサイト・イブ」とかで有名な瀬名さんのロボットにかんする論文や、講演や対談をまとめたもの。
 本人が専門家なため、結構詳しくロボットについて様々な観点から述べてある。
 
 ロボットを作っていくうえで、避けては通れないのは、心の問題で、なんというか考えるとはどういうことなのかよくわからなくなってくるわけで、デカルトの心体二元論とか出てきて、哲学的な境界へも踏み込んでいく。
 
 今は正直良く分からないことが多かったけど、いつかこういうジャンルの話が僕達の常識になる世界が来るかと思うと、なんだか不思議な気がする。ただ、ロボットが出現することで、芸術とか表現の幅が広がるだろうし、楽しみでもある。やっぱロボは男のロマンですね。

 ところで、すごく思ったのが、宇宙の本とか読んでてもそうなのだが、実は本当の理系の人って哲学とか文学とかいわゆる文学部的な思考を持っている人が多いんじゃないだろうか。なんとなく理系って文学部と対極にあるイメージがあるけれど、それらの対極は実は経済とかになるのかもしれない。
 どちらにせよ、理系と文系が繋がって未来に何かを生み出すというのは、とても良いなあ、となんか思ったわけですね。うん。
 

読書

夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))
(1979/05)
ロバート・A・ハインライン福島 正実

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 もうジャケットのイラストのセンスでクラッとくるのは僕だけだろうか。

 SF好きは教本みたいな1冊ですね。読んでなかった自分が恥ずかしい。ご存知ハインラインの名作中の名作。古本屋で発見してしまったので衝動買い。

 エンジニアのダンは、恋人と共同経営者に裏切られ、冷凍睡眠させられてしまう。2001年に目覚めたダンは、本当の愛を求めて奔走する。
 簡単に話を要約してしまうと、冷凍睡眠して未来に行って、タイムマシンに乗って過去に戻ってまた冷凍睡眠する、っていう話なだけで、特に目新しいSF的トリックがある訳ではない。
 だが、スピード感溢れる語り口と、ドラマ的な設定と、良い味を放つ中間者としての猫が読者の心を捉えて離さない。

 面白いのは、冷凍睡眠から醒めるのが2001年という設定。もう僕達はその年を越えているが、未だに万能ロボットは出ていない。ハインラインはちょっと未来に期待しすぎていたようだ。

 夏という季節は特別なものがある。ただ暑いだけでなく、この作品では、冷凍睡眠から醒めるという意味と、同義で未来の意味を持つ。それになんだか、夏は妙に懐かしく、切ない。
 
 名作の名に相応しい、甘く切ない、素晴らしい物語だった

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スイート・ホームズ探偵 (新潮文庫―筒井康隆劇場)スイート・ホームズ探偵 (新潮文庫―筒井康隆劇場)
(1993/11)
筒井 康隆

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 筒井の書く戯曲の脚本。

 演劇って基本1カットみたいなもんだから、1カットアニメ作りの勉強になりますね。そうですね。
 

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蒸気駆動の少年 [奇想コレクション] (奇想コレクション)蒸気駆動の少年 [奇想コレクション] (奇想コレクション)
(2008/02/19)
ジョン・スラデック

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 マスター、いつもの! 
 あいよ、奇想コレクションだね。

 そんな感じで今日はジョン・スラデック。初めて出会う作家だけども、SF界随一の奇才で有名と解説に書いてありました。
 
 そいでもって、作品はその名に恥じない奇天烈ぶり。不思議な小説、と書くと自分の語彙力の無さに虚しくなるんだけども事実その通りで、まったく珍妙な小説である。

 つまり、独自の世界観が見事に作りこまれているんだけど、その設定などはまったく説明されないまま話が進むので置いてきぼりにされた感を味わえる。たぶん作者は分かってやっていて、いわば世界観に浸ることを狙って書いてるのだと思う。タイムマシンで突然未来にいってまったく見たことの無い物に囲まれて当惑するそんな雰囲気。
 一歩間違うと作者の自己満足になってしまうから好き嫌いがかなり分かれる作家だろうと思う。実はちょっと苦しくなって、全部の作品を読んではいないのは秘密です。
 
 ただ、「超越のサンドイッチ」は中でも珍しく普通に読める作品で、ブラックなセンスが利いていて個人的にはとても好きだった。まぁそんなとこか
 

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宇宙を意図(デザイン)したのは誰か―人類が滅んだあとに存在するもの (New intellect (20))宇宙を意図(デザイン)したのは誰か―人類が滅んだあとに存在するもの (New intellect (20))
(1995/11)
磯部 シュウ三

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 これはずいぶん分かりやすい宇宙本であった。前半は宇宙にまつわる歴史の話がたるいので軽く流すとして、後半が最近の宇宙論について書いてある。
 僕が宇宙について事前知識があるからかもしれないけれど、今まで読んだ中ではとても分かりやすい1冊だった。

 とりあえず、地球が滅亡する確立って、意外に高いんだなーって

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別役実のコント教室―不条理な笑いへのレッスン別役実のコント教室―不条理な笑いへのレッスン
(2003/11)
別役 実

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 別役実が、実際に行ったシナリオ教室で話した内容をまとめた本。実際に生徒の書いた脚本などが載ってあって面白い。

 別役さんは「死体」で一つコメディ話を作って来いと題を与える。
 書かれた脚本を見て興味深かったのは、ほぼ全員が、死体に驚かず、普通に接するシュール形の話を書いているということ。そして僕もそう書いただろう。
 結局、笑いとはズレなので、非日常としての「死体」を笑いに持って行こうとすると、それを日常に組み込むのが一番手っ取り早い、笑いを作る手段なんだろう。そんな風に見てるととても面白い。
 逆に驚かせてズレを作るなら、ものすごい驚いてるんだけど、よくよく聞くと驚きの内容がズレている、みたいな感じだと一本作れる気がする。

 笑いを作るテクニックに関しては、目新しいものはあまりなかったけど、プロ以外の脚本を見れるのはあんまり機会が無いので、とても勉強になった。

読書

ズッコケ中年三人組ズッコケ中年三人組
(2005/12)
那須 正幹

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 帰省したときに、家に転がっていた。ズッコケシリーズを読み返していた。小さい頃僕の青春だったその本達は、今読み直しても生き生きとしていて面白く、童心に返って読み直していた。

 そんなズッコケ三人組が中年になった話。昔対決した怪盗Xが復活して、久しぶりに三人組に挑戦を挑む。

 ハチベエが八百屋を畳んでコンビニの店長だったり、モーちゃんはビデオショップでアルバイト。ハカセは学校の先生。それぞれが明日に悩んでいて、「今日」を楽しんでいた昔の子供ではないのだとしみじみ感じさせられる。
 そこまではともかく、ハチベエが不倫もどきをやるくだりあたりは、なんだろう、何故だかすごく嫌だったのは(それは作者のたくらみに乗せられた嫌悪感なわけだが)、僕が、僕達がズッコケ三人組にはそんな大人のどす黒い色んな物に負けないで、いつまでも真っ直ぐに生きていて欲しいと思っているからで、たぶんアイドルはトイレに行かないし結婚もしない的な幻想に近いものがあるだろう。
 そんな堕落?して大人になってしまった3人に昔の輝きを思い出す為に、怪盗Xは挑戦をしかけてくる。

 結果的に、3人はもう一度あの頃の情熱を思い出して、怪盗Xを追い詰める。ハチベエ夫婦の仲も戻ったし、万事が上手く行ったように思える。
 だが、と思う。
 
 それでも、3人組は決して昔のあの頃には戻ることは出来ないのだろう。どれだけ無茶をやる気が湧いても、地位がある。家族がいる。
 昔の情熱を取り戻したからこそ、昔には決して戻れないのだということをはっきりと突きつけられたような気がした。 この本は、永遠の少年の心を取り戻した大人の話ではない。少年の心を取り戻したい、永遠の大人の話だ。
 ズッコケが大人になり、僕達も大人になる。二度と戻れない時が、確実に過ぎている。

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ロックンロールミシン (新潮文庫)ロックンロールミシン (新潮文庫)
(2002/05)
鈴木 清剛

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 鈴木清剛の三島賞作。テンポがよくてリズミカルにパワフルななるほど三島賞好きそうだなーって感じの作品。

 なんとなくサラリーマンを辞めた主人公は、高校時代の友人がやっているインディーズの服のブランドを手伝うようになる。コンペに向けて盛り上がるが、最終的に自分と友人達との住む世界の違いみたいなものを感じ、サラリーマンに戻る、みたいな内容。
 
 読んだ第一印象としては、映画っぽいな、という印象。特に自分達の服を鋏で切るとあたりは、映像にしたら色とりどりの切れ端が舞ってキレイだろうな、と思った。思っていたら解説を行定勲が書いていて、どうも映画化されたみたいですね。良い邦画になったことでしょう。

 ふと思ったけど、結局、ストーリーって様々あれ、大まかに分けると、主人公が色々経験してなんか乗り越えて変わるビルディングスロマンか、主人公が色々経験して結局やっぱり何も変わらない村上春樹的な感じか、の2分されちゃうんじゃないだろうか。
 もちろん、この作品は後者である。
 
 なんか、よく作りこまれた小説なのでちゃんと読めば分析とか面白いのだろうけど、すごいメンドくさくなってきたのでもう良いや。でもすごく楽しい小説でした。短いしね!

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図書館危機図書館危機
(2007/02)
有川 浩

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 20分くらいで読み終わるという我ながら究極のスピードで読み終えた。
 やはり本と言うものはページの厚さと内容の厚さは必ずしも比例しないものである。いや、別に、面白いけどね。

 というか、文章テクニックに重きを置かない本だと、そのあたりをじっくり読む必要がないから必然的に早くなる。なるほど、ライトなわけだ。

 とりあえず、僕恋愛小説はそんなに好きじゃないからつかれた

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ブラックジュース (奇想コレクション)ブラックジュース (奇想コレクション)
(2008/05)
マーゴ ラナガン

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 毎週1冊。奇想コレクションでやんす。もうこのシリーズもそこそこ読んでいるので制覇に近づいてもいいんじゃないかと思うんだけど、先は長い。というかSFマガジン立ち読みしてたらまた新しいのが出たと書いてあった。ニュートン算か!

 マーゴ・ラナガンは僕はさっぱり知らない作家だったのだが、初の短編集が00年と新しめの作家らしい。ロボとか出るタイプの人でもなく、SFというよりは幻想文学に近い気がし、事実、世界幻想文学大賞を受賞してるらしい。へー

 1作目「沈んでいく姉さんを送る歌」はその世界幻想文学大賞の受賞作。物語の背景や設定は詳しく描かれないが、決して先進とは言えない場所で夫を殺した女性が、部族の掟に従ってタールの沼に沈んでいくところを描いた話。
 沈んでいく姉の周りに家族がシートを敷いて美味しいものを食べ、歌を歌ったりして姉の気を紛らわそうとする。
 断片を描くことで読者に想像させるのも良いし、姉が夫を殺してしまった理由について母が「愛しすぎたら姉さんのようになるわよ」と言うのもとても切ない。なにより三人称でもなく、弟と言う子供の立場から描くことで、姉の死を経験して少し大人になる成長の物語として捉えることも出来、本当に良く出来たすばらしい作品だと思う。こういう大好きなんですね。はい。

 あとは、良く分からないけれどピエロを三国無双のようにバタバタ撃ち殺す「赤鼻の日」などは面白かったが、他の作品はあまりパッとしなかった、というのが正直な感想。
 背景を描かないのが作者の持ち味だが、あまりやりすぎると良く分からず、置いてきぼりにされてしまった感じを受けてしまう。難しいですね。
 

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宇宙の向こう側―量子、五次元、ワープト・スロート宇宙の向こう側―量子、五次元、ワープト・スロート
(2008/06/25)
横山 順一竹内 薫

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 宇宙の専門家二人の対談集。対談で口語的に書かれているので、若干分かりやすい・・・気がしたのだが、後半からヒートアップしてだんだん分からなくなってくる。ひも理論あたりで眠りに落ちる。ブレーン宇宙あたりでは本は僕の手を離れてハの字になってベッドの下に横たわっている。ありがとう宇宙。さようなら宇宙。ごめんなさい宇宙。僕はまだ未熟です

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ロケット★ボーイ (角川文庫)ロケット★ボーイ (角川文庫)
(2006/05/25)
宮藤 官九郎

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 なんか昔、連ドラになってましたね。その連ドラの全7話の脚本。

 脚本の勉強で読んで見たのだけど、ちゃんと1話ごとがだいたい原稿用紙50枚くらいで、1分1枚が見事に適用されていてああやっぱりそうなんだとなんだか納得してしまった。
 あと、クドカンだからだろうけど、セリフの一つ一つが短い。小説だとたぶんハネられそうだけど、やはり映像だからカメラを動かさないと視聴者が飽きてしまう。改めて脚本と小説の違いと難しさを感じた。
 それにしても連ドラって、それぞれの話に山谷つけないといけないし、全体でも強弱付けてまとめないといけないし、いやぁ大変だと思った。

 どうでもいいけど、主人公のキャストは織田祐二らしいけど、なんか優柔不断ぐあいとかがなんかあんまり合わないんじゃないかと思うのだが、まぁそれはどうでもいい話ですね。

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虎は暗闇より (角川文庫 緑 383-2)虎は暗闇より (角川文庫 緑 383-2)
(1974/09)
平井 和正

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 人の心情のモチーフとして、動物が使われることは多い。その中でも虎は潜在的な暴力性の象徴でよく使われる。例えばブローディガンの「西瓜糖の日々」がそうだし、ベスターの「虎よ虎よ」もそうなるだろうか。
 そんな中でも屈指の虎使いが平井和正だと言えよう。

 収録されている短編の多くに見え隠れする虎の影。「背後の虎」は流産してストレスに追い詰められた妻の抑圧された暴力性が虎という形で現れる。
 表題作の「虎は暗闇より」では、人の暴力性を表に出す力を持ってしまった男の話。ここでも潜在的なモノが虎という形で描かれている。

 虎は至ることろに現れる。

 この本の初版は昭和49年と古いが、僕にはとても新しい、現代的な作品に思えた。当時よりも今の方が、こうした隠れた衝動を描く作品が書かれても良いはずなのに、あんまり見ない気がする。
 それはもはや、現在の社会状況が話のネタにも出来ないほど荒んでしまったからなのかもしれない。
 そう思った

読書

チャンドラー傑作集〈第1〉 (1963年) (創元推理文庫)チャンドラー傑作集〈第1〉 (1963年) (創元推理文庫)
(1963)
稲葉 由紀

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古本市の日程を間違えていて、おまけに図書館も閉まっていたので侘しく行き着けの古本屋に行き買ってきたチャンドラーの短編集。

 ハードボイルド好きでチャンドラーを知らない人がいたら、モグリを通り越して目を噛んで死んだほうが良いと思うわけだが、ご存知世界一有名な私立探偵フィリップ・マーロウの出てくる作品集です。

 マーロウは始終タバコをふかし、スコッチをあおる。なんとも物憂げな感じで仕事をこなすその姿は、キザなんだけど嫌味に感じさせない。というかもはや様式美の世界な気もする。
 村上春樹がチャンドラーファンなのは有名だが、あの「やれやれ」と呟く感じはまさにチャンドラーの世界だ。

  日本人がスコッチをあおっても、ただの酔っ払いだし、日本酒や焼酎に変えたところでますます酔っ払いなわけで。やはり日本人の私立探偵は明智小五郎あたりで我慢しとくのが良いのではないだろうか。

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やつあたり文化論 (1975年)やつあたり文化論 (1975年)
(1975)
筒井 康隆

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 まぁ、もう言うこともないかなと思う筒井康隆先生のエッセイ。連載してたエッセイの他に、小松左京の本の解説文なんかも載せている闇鍋みたいな本。
 もういつものことなので以上!

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燃えるスカートの少女燃えるスカートの少女
(2003/05/30)
エイミー・ベンダー管 啓次郎

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 なんというかなぁ。不思議な小説なんですね。作者は最近村上春樹が好きらしいけれど、確かに割りと似ている空気がある。けど、違うんだなぁ

 一番最初の作品「思い出す人」が僕のお気に入りの作品。突然若返り始めたベン。それも年齢的に若返るのを通り越して、サルになり、サンショウウオになり。進化の歴史を逆にたどる若返り。
 最後に彼女はサンショウウオのベンを海に放してやるんだけどしみじみとしたなんとも言えぬラストが良い。こういう発想が個人的に好きなのも理由の一つ。てかサンショウウオって海だっけ?とか突っ込むのは止めておこうw

 それぞれとても短い短編で、ショートショートと言ってもいいくらい短いのだけど、独特のクセがある作品ぞろい。読む人を選ぶんじゃないかな。
 

読書

大奥の奥 (新潮新書)大奥の奥 (新潮新書)
(2006/11/16)
鈴木 由紀子

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何が一番驚いたって、御台所(要は正妻ですな)の厠は底がものすごい深くて、御台所が亡くなるまで一度も汲み取ることはなかったらしい。
 うーん
 高貴さはよく分かるけれど、その果てしなく真っ暗な底を思うとぞっとするなぁ

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毒草を食べてみた (文春新書)毒草を食べてみた (文春新書)
(2000/04)
植松 黎

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 なんかもはやニコニコ動画のタグみたいですねw

 名前の通り、毒草についての本。さすがに本気でヤバイのは食べてないけど、そこそこヤバイのは食べてます。食べるなよw

 読んでみると、意外に身近な植物にも毒があって驚かされる。ヒガンバナは有名だけど、スイセンやスズランとかにも毒があるのは知らなかった。
 あと、昔のコカ・コーラにはマジで軽くコカが入ってたんですって。怖いなぁ

 コカやアサ、ケシ。それぞれ危険な麻薬だけど、地元の人たちは宗教の儀式で使うにもかかわらず、それで身を滅ぼすことはないと言う。最近流行の麻薬だけど、それを使用することが盲目的に悪いのではない。悪いのはその使い方なのだ。そう思った

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ページをめくれば (奇想コレクション)ページをめくれば (奇想コレクション)
(2006/02/21)
ゼナ・ヘンダースン

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 まいど奇想コレクションシリーズでやんす。今回は女流SFの先駆者、ゼナ・ヘンダースン。

 ヘンダースンはもともと小学校の先生だったこともあり、先生の立場から見た子供達を描くことが多い。作品全てに子供達への愛に溢れており、世の先生方はぜひ読んでいただきたい。
 作風としては、普通の状況に異物が乱入するズレみたいなものをテーマにすることが多い。発想法として僕もよくこういうパターンの話を作ることが多いので、なんだか親近感が湧いてしまった。

 「いちばん近い学校」はその分かりやすい典型的な作品。ある平凡な学校に、なんだかよく分からないものが転校してくる。その理由は「いちばん近いから」。その転校してくるものは紫色のフワフワしたもの、と一人称の主観で描写してあるが、はっきりとした記述や、何者であるかは述べられない。だから、面白い。
 描かれないことで読者に自由なイメージを持たせ、自分だけの異物を想像させる。詳しく述べられたら、異物として賛否両論起こるだろうが、描かれないからこそそれぞれの究極の異物であることができる。こういうのは小説でしか出来ないトリック。
 それを見た普通の人々とのギャップも面白いし、最後にちょっと叙情的になるのも素敵。ちなみに僕にとってのこの異物は、なんだかバックベアードみたいな気がした。

 表題作「ページをめくれば」は不思議な先生の話。作中のエボー先生は生徒達を色んなおとぎ話の生き物に変え、実際におとぎ話を体験させてくれる。そんな不思議な思い出を、子供達は大きくなるにつれて忘れてしまうのだ。
 小さい頃に読んだたくさんの御伽噺。僕達は大きくなるにつれ、それを忘れ、軽んじ、馬鹿にするようになる。だけど、どうして?
 そこには時がたっても忘れてはいけない純度の高いキラメキがいつまでも転がっているのに。

 エボー先生は学校を去るときに言う「忘れないで!ページをめくることを!」

 ページをめくることを忘れても、僕達は何も失わない。けれど、何かとても大切な何かを失うだろう。
 そこにはロマンがある。愛がある。希望がある。
 ページをめくることを忘れてはいけない。
 だから僕は今日も本を手に取る。  明日も  明後日も  いつまでも


 

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論争する宇宙―「アインシュタイン最大の失敗」が甦る (集英社新書)論争する宇宙―「アインシュタイン最大の失敗」が甦る (集英社新書)
(2006/01)
吉井 讓

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 ハワイのマグナム望遠鏡ができるまでの話。

 すばる望遠鏡はあまりにも有名だけど、他にこんな望遠鏡があるのは知らなかった。すばるよりは小さいけど、長期観測が可能らしいです。

 というか、宇宙理論って、質の良い望遠鏡が出来るたびに変わっていくので、たぶんこの先もっと等級の低い星が見つかるだろうし、そのうちに宇宙の年齢もまた古くなるんじゃないだろうかしらん

読書

サラリーマンNEO―内村宏幸オリジナルコント傑作集 (光文社文庫)サラリーマンNEO―内村宏幸オリジナルコント傑作集 (光文社文庫)
(2007/03)
内村 宏幸

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 日曜日の11時は、だいたいガキの使いか堂本兄弟に負けてしまうのだけど、大好きですサラリーマンNEO。
 
 そのサラリーマンNEOの傑作コントの脚本を発見したので借りてきました。
 めちゃくちゃ面白いぞw

 シチュエーションが同じで繰り返しの笑いが強いんだけど、それぞれ単体でも普通に面白い。なんだろうなぁ、これだけハズレが無いのも珍しい。さすがですねー。
 中でも「社内スタントマン」シリ-ズが一番好きなのだけど、予想できる展開で笑わせておいて、最後に落とすことで完璧な笑いが形成されている。
 セリフの一つ一つがとても短くてテンポがとても良い。

 見ているほうは気楽に見ているけど、いざ自分が書くとなったら、笑いは本当に難しい。とても難しい。こういう脚本書ける人間になりたいです。本当に

読書

ジョゼと虎と魚たち (角川文庫)ジョゼと虎と魚たち (角川文庫)
(1987/01)
田辺 聖子

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 少し前にヒロインが池脇千鶴で映画化されてましたね。音楽をバンドのくるりが担当してて、くるり好きの僕は気になっていた本。作者は田辺聖子だったんですな。

 短編集で、表題作の「ジョゼ~」は思ったより短かった。足の悪いジョゼと恒夫のまったりとした日常の話。足が悪いが卑屈なところは無く、毅然としており、かつ高慢でもない。気丈に生きているジョゼはとても美しい。そして頻繁に出てくる足の描写。ジョゼの足は機能していないがゆえに美しい。死んでいるからこそその真っ白さが逆に生々しくエロティックに映る。いやまぁ足フェチだけどもさ
 
 最後にジョゼは思う。「「完全無欠な幸福は、死そのものであった」
 生と死は隣り合わせとはよく言うが、なんというか、そういうことなのだろう。

 幸せなんだけど、なんとなく漂う停滞した空気。いつか訪れる最後の時。死の香り。分かっていても、こういう文章は僕にはまだまだ書けはしないと思う。
 雰囲気を作るのが上手いし、足が悪い=魚。その対義語としての虎など、テクニックも効いている。すんばらしいですね。

 映画はまだ見てないけど、邦画っぽいし、くるりによく合いそうだし、良い映画なんじゃないだろうか。
 
 どうでもいいけど、他の作品もなかなか面白くて、僕の好きな感じの本だったのだが、やっぱり田辺聖子と筒井康隆が仲がイイのと関係してるのだろうか。まぁ邪推ですね。そうですね。

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第一義の道・赤蛙 (講談社文芸文庫)第一義の道・赤蛙 (講談社文芸文庫)
(2006/03)
島木 健作

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島木健作の作品集。自身が活動家であり、検挙されてから転向した、という経験をお持ちの方なので、作品内にもそういう生き様が描かれている。
 
 表題作の「第一義の道」は、出獄してきた主人公と、老いた母を中心に話が進む。出獄した順吉は昔の活動家友人に会うが、みな商業主義に走っており、それに対して順吉はやりきれない怒りを覚える。老いた母は、妹の家に間借りさせて貰っているが、妹夫婦に小言を言われ、いつもオドオドしながら生きている。
 義に生きるのが良いのか。それとも良い生活、安定した生活を求めて生きるのが良いのか。双方に言い分はあるだろうし、僕にはどちらが良いのかよく分からない。
 ただ、どちらにせよ。信念に従って生きるも良し、金儲けに走るも良し、女遊びに生きるも良し。自分にとっての第一義の道を持っていることは、大事なことだと思う。僕はいつも振り返りながら歩いているけれども。

 「黒猫」「ジガ蜂」は随筆っぽい心境小説。それぞれ生き物を見ながらの作品なので、なんとなく志賀直哉の「城の崎にて」とか思い出してしまう。
 その中でも、毅然とした態度をとる大きな黒猫や、堕落した飼い犬についての重いなどを綴った「黒猫」には、転向についての島木さんの思いがリアルに書かれている気がした。
 
 長すぎず、短すぎず、程よいテンポでたんたんと語られる。静かな文章の中に島木さんの信念が伺える。それに比べて僕は。

読書

はてしない物語はてしない物語
(1982/06)
ミヒャエル・エンデ上田 真而子

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あけましておめでとうございます。新年の抱負とかはどうでもいいですが、とりあえず今年もどんどん本を読んでいきたいですね。

 そんな新年1冊目の本がこれ。エンデの永遠の名作「はてしない物語」。ご存知「ネバーエンディング・ストーリー」の原作。
 小学生のときにクリスマスプレゼントでサンタさんから貰って、それから何度も読んだけど、帰省して久しぶりに読み返してみた、というわけ。
 
 読み返して、正直驚いた。ファンタジーの金字塔だから内容に関して言うことなど何もなく、鮮やかな幻想的な世界にため息をうつだけなのだけど、それはともかく。僕が驚いたのはそんなことではなく、主人公バスチアンの成長の物語としての見事さに改めて気づかされたのが衝撃だったのだ。
 小さい頃はそこまで分からなかった。幸いの竜フッフールの鳴き声を耳に聞いてみたり、水面にキラキラ輝く水銀の町を想像してみたりした。何より、自分にもバスチアンのように本の中の世界から呼ばれる日がくるんじゃないかと思って、わくわくしながら色んな本を開いてみた。それが精一杯。だが、子供としては正しい読みだったと思う。

 今読んで見えてくるのは、違う世界だ。自分の理想の姿になったバスチアンには、周りが見る自分と、自分の思う自分にズレが生まれ始める。認めてくれない周りに怒り、暴挙に出たバスチアンは自分の半身であるアトレーユを傷つける。このあたり村上春樹みたいで上手いよなぁ。色々あって、もとのデブの姿になったバスチアンは、初めて心と体が一致し、ここにアイデンティティが確立される。
 完璧な成長譚であり、時々に挟まれるモチーフの数々。泉で体を清めて元の姿に戻る所などは、まるで母親の胎内のような印象を受けるし、ヨルの鉱山で自分の記憶を見つけるのも隠喩が効いている。こんなに凄い本だとは思っていなかった。やべっちFC的に言うと、「巧です」。やっぱり名作にはそれだけの理由がありますね。

 本には読むたびに新たな発見がある。もう10年して読んだら、また新しい発見があるかもしれない。万華鏡のように見るたびに違った美しい姿を見せてくれる。だから本は面白いし、素晴らしい。
 
 本当に、本って良いものですね。

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